英労働党、メイ首相への不信任動議を提出
(英国)
ロンドン発
2018年12月18日
英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐって紛糾する英国議会で12月17日夕刻、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首が、テレーザ・メイ首相に対する不信任動議を議会に提出した。メイ首相は12月12日に与党・保守党内での不信任投票を退けたが(2018年12月13日記事参照)、わずか5日後に、今度は議会で不信任動議を突きつけられた。
提出された首相不信任動議は、議会解散の条件の1つとして規定される政府不信任動議と異なり、法的拘束力はない。そのため可決された場合でも、メイ首相が辞任する必要は生じないが、政権にとっては大きな打撃となる。
しかし、動議が可決される可能性は少ない。保守党内の首相不信任決議を主導した同党EU離脱強硬派の主要議員らは早々に、民主的な手続きにより党内で信任された首相を支持する意向を表明。閣外協力する民主統一党(DUP)も、「バックストップ」をめぐり政府のブレグジット合意は批判するものの閣外協力の立場は変えておらず、今回の動議ではメイ首相支持を表明している。
動議提出の背景には、労働党内や他の野党からコービン党首への圧力が強まっていることがある。コービン党首は、解散総選挙につながる政府不信任動議はブレグジット合意が否決されるまで温存する意向だが、自由民主党やスコットランド国民党(SNP)などはこれを早く提出するよう、労働党に求めていた。これら少数野党は12月17日夜に連名で、コービン党首が提出した首相不信任動議を、政府不信任動議にする修正動議を提出した。自由民主党のビンス・ケーブル党首は「労働党の言い訳は言い尽くされた。(2度目の)国民投票に対する言い逃れは終えるべき」とツイートするなど、野党間の足並みの乱れが目立ってきている。
一方で、政府のブレグジット合意への支持は広がってない。メイ首相は12月17日の議会演説で、2度目の国民投票を明確に否定し、バックストップに対する一層の法的・政治的確約を取り付けるため、EUとの協議を続ける意向を表明した。EUは先の欧州理事会(EU首脳会議)で再交渉に応じない方針を示してしているが(2018年12月17日記事参照)、一段踏み込んだ確約について、引き続き英国と協議することには含みを持たせている。メイ首相は演説の中で、議会休会明けの1月7日の週に審議を行い、翌14日の週に採決を行う意向を明言している。
(宮崎拓)
(英国)
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