英国化学工業協会、REACH規則からの離脱準備の報告書を公開

(英国)

ロンドン発

2018年10月17日

英国化学工業協会(CIA)は10月12日、欧州化学工業連盟(Cefic)と共同で、英国のEU離脱(ブレグジット)により英国にREACH規則が適用されなくなるシナリオへの準備に関する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。対応には数週間を要することが予想され、複雑なサプライチェーンを構築している場合は早期の対応開始を助言している。

REACH規則は、EU加盟国に直接適用されている化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則。報告書によると、英国が何ら取り決めがないまま、EUを離脱した場合、2019年3月29日英国時間午後11時(以下、離脱日)からREACH規則が英国で適用されなくなる。EUとの移行期間がない場合、2018年EU離脱法により、離脱日にREACH規則は英国法(以下、英国REACH)になり、REACH規則と同様の登録、評価、認証や制限に関する法的要件が継続される。

EU/EEA(注)と取引を行う在英製造業者、もしくは輸入業者がREACH規則の適用終了後も取引を継続するためには、在英製造業者は、(1)在EUの「唯一の代理人」の任命、(2)EU域内への移転、(3)在EUの輸入業者に対してREACHに基づく登録の依頼、の3つの選択肢がある。在英の輸入業者は、EU域内に当該機能を再構築する必要がある。また、英国で「唯一の代理人」を任命していたEU域外の製造業者は、ブレグジットにより英国がEU域外となることから、EU域内に新たに「唯一の代理人」を任命する必要があるとした。

英国REACH下では、REACH対象物質を欧州化学品庁(ECHA)に登録している在英企業はブレグジット後、最悪のケースでは、ECHAのデータベースへのアクセスが拒否され、英国政府から登録データの再提出が求められる可能性がある。その場合、企業は離脱日から60日以内に英国当局に届け出を、2年以内に登録データを再提出する。現在、EUから化学品を輸入している在英の川下ユーザーは、英国REACHの下の輸入業者となり、離脱日から180日以内の届け出が求められる。また、何ら取り決めがないままブレグジットになる場合、新しい化学品をEU/EEAおよび英国で上市(販売)するためには、ECHAと英国当局それぞれに同様のデータの登録が必要になる可能性がある。政府が公表したノー・ディールに備えるガイダンスによると、ブレグジット以降のREACH規則に関する英国当局は安全衛生庁(HSE)になる。

(注)EU加盟28カ国、ノルウェー、リヒテンシュタインおよびアイスランド。

(鵜澤聡)

(英国)

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