政権移行チーム、新空港問題で意見公募実施へ
(メキシコ)
メキシコ発
2018年10月22日
アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)次期大統領の政権移行チームは、10月25~28日に、新空港建設続行の是非を国民に問う意見公募を実施すると発表した(AMLO氏公式ウェブサイト10月15日付プレスリリース)。意見公募の結果は10月28日中に発表される予定だ。
メキシコ市を中心とした全国538カ所の市町村に1,073の受付所を設置し、50万~100万枚の回答用紙を用意する。意見公募の設問は1つで、国民は「現空港とサンタルシア空軍基地の拡張で対応すべき」か「新空港の建設を続行すべき」のどちらかを選択する。AMLO氏は、50万人の回答が全国民の意見を代表し得るとし、意見公募の結果を大統領就任後の自らの政策とする旨コメントしたと報じられている(「エル・エコノミスタ」紙10月16日)
パンフ記載事項の中立性に疑問も
一方で、政権移行チームが発表したパンフレットには両選択肢のメリット・デメリットが記載されているが、現地有力紙からは、その中立性に疑問が呈されている。例えば、新空港の建設計画について生態系や資源を破壊するなどとデメリットが強調されている一方で、現空港とサンタルシア空軍基地の拡張で対応する場合は「一定の環境負荷がかかる」との記載にとどまっている。また、新空港建設の進捗状況についてプロジェクトの責任者が31.5%完了していると公表しているのに対し、パンフレットでは20%と少なく記載されている。
さらに、現空港とサンタルシア空軍基地の拡張で対応する計画について、国際航空民間機関(ICAO)が実現可能と言及したとパンフレットに記載されているが、同機関が航空学上の観点から、サンタルシアの拡張よりも新空港を建設することが望ましいと指摘していることは明らかにされていない。そして新空港の建設を中止した場合のデメリットとして「経済的損失が生じることが考え得る」と記載するのみで、その金額が1,000億ペソ(約5,900億円、1ペソ=約5.9円)以上に達する見込みであることは明らかにしていない(「レフォルマ」紙10月16日)。
(松本杏奈)
(メキシコ)
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