日米首脳会談、物品貿易協定の交渉開始で合意
(米国、日本)
ニューヨーク発
2018年09月27日
日米両国は9月26日、「日米物品貿易協定(United States-Japan Trade Agreement on goods,TAG)」の締結に向けた交渉開始で合意した。同日にニューヨークで行われた安倍晋三首相とトランプ大統領の首脳会談で発表されたもので、自動車や農産品などの市場アクセスについて交渉が行われることになる。
首脳会談後に発表された共同声明には、「交渉を行うに当たっては、日米両国は他方の政府の立場を尊重する」と明記された。その上で、自動車の市場アクセスの交渉結果は、米国内の自動車生産や雇用の増加を目的としたものになるとしている。一方、日本側の農業・林業・水産業の市場アクセスに関しては、日本との過去の経済連携協定(economic partnership agreements)で約束されたものが上限(maximum level)になると記載された。また、「日米両国は信頼関係に基づき議論を行うこととし、その協議が行われている間、本共同声明の精神に反する行動を取らない」との文言が入った。通商専門誌「インサイドUSトレード」(9月26日)は、この文言は1962年通商拡大法232条に基づきトランプ政権が発動を検討している自動車・同部品に対する関税賦課について触れたものと報じている。
共同声明はまた、サービスや他の貿易・投資分野についても交渉を行うとしている。サービスを含む重要な分野については早期に結果を生じ得るものについても交渉を開始するとしており、他の貿易・投資に関する事項については物品協定の議論の完了後、交渉を行うとしている。
正式な交渉は米国内で必要な手続きが終了した後に開始される。下院歳入委員会のケビン・ブレイディ委員長(共和党、テキサス州)は、両国が交渉開始の意思で合意したことを歓迎する声明を出している。「大統領貿易促進権限(TPA)法(注)に定められた交渉目的や条件について、ロバート・ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と話し合うことを楽しみにしている」と述べた。TPA法は交渉開始の3カ月前までに議会に対して書面で報告することを規定している。実際に交渉が開始されるのは早くても2019年以降になる。
(注)米国憲法では外国との通商関係は議会が管轄しているが、TPA法は、この通商交渉に関する権限を大統領に一時的に付与するもの。TPAが大統領に与えられている場合、議会に対する報告・相談義務など、TPA法に定められた目的や手続きにのっとって政権がまとめた通商協定法案は、議会で修正を受けずに賛否のみの採決に付すことができる。
(鈴木敦)
(米国、日本)
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