税関による知財侵害物品の取り締まり規定が整備
(インドネシア)
ジャカルタ発
2018年08月29日
知的財産侵害物品の税関総局による取り締まり(差し止め)に関する財務大臣規程が2018年4月に公布され、インドネシアの輸出入に関して権利者などが税関総局に対し知財諸権利の登録、税関総局が実施する取り締まりの手続きが整備された。侵害疑義物品に関する税関からの通知への権利者側の対応期限、1億ルピア(約76万円、1ルピア=約0.0076円)の供託金の取り扱い、税関総局の機能はあくまで差し止めに限定され裁判所の手続きなどが必要なこと、などがポイントとなる。
インドネシアでは従来、税関総局による知財侵害物品の法令が整備されておらず、今回の規程で権利者側および税関総局の手続きの細目が具体的に示されたことで、輸出入に関し権利者側の利益が保護される体制が整った。本規程の取り締まり対象は商標権および著作権などで、対象は商業貨物となり、旅客貨物などの手荷物には適用されない。
権利者側は、著作権および著作権などの登録(Recordation)を書面で行う(第3条)。権利者側は権利に関して詳細を理解している調査員を指名すること、とされている(同条)。税関総局のシステム登録は1年間有効で、期限終了30日前に申請して延長することができる(第7条)。税関職員が十分な証拠を得て輸出入が暫定的に差し止めされたこと(第10条)に対し、権利者側は2日以内に税関職員に確認の通知を行うことが求められる(第11条)。権利者側は通知の4日以内に銀行または保険会社の保証形式で、税関に対し1億ルピアの供託および裁判所長官への差し止め申立書を提出する(第11条、第14条)。税関職員による差し止めは10営業日以内で、1回の延長を限度として最長20日営業日の差し止めが限度となる(第21条)。その後は、裁判所などへの手続きに委ねられる(第22条)。第14条で担保された権利者側負担の取扱費用はa.審査費用、b.分解費用、c.在庫費用、d.輸送費用、e.コンテナレンタルの費用、f.その他の費用となっている。
本規程では、税関に対する輸入者側の広範かつ短期間の迅速な協力が求められている。権利者側が全ての責任を負う取扱費用については、具体的な算定方法が明確でなく、担保額を超えた追加的費用への懸念が残る。また、本規程は税関手続きに関する規定であり、侵害物品を食い止める実効性ある措置が確保されるためには、訴訟または裁判外紛争解決手続き(ADR)などを視野に入れた対応が求められる。
以下の「関連法令」資料を参照のこと。
(吉岡克也、佐々木新平)
(インドネシア)
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