政府が政策方針、人工知能の推進でさらなる成長目指す

(ドイツ)

ベルリン発

2018年08月07日

ドイツ連邦政府は7月18日、研究開発、経済成長、労働にとって重要な要素となっている人工知能(AI)について、推進戦略の策定に向けて礎石となる政策方針を議決した。連邦政府は、この方針を基に、ドイツのAIの研究・開発および応用分野で世界を牽引するレベルに引き上げるとした。今後、コンピテンスセンターや欧州の研究機関とのネットワークにより、AIに関する研究環境の構築を目指す。

アーニヤ・カーリクチェック教育・研究相は、AI分野の研究者にとってドイツを魅力的な研究の場とすべきとし、「AIは成長と繁栄への重要なカギとなる」と述べた。州と協力してAI分野の教授ポストを追加で増やすことや、飛躍的な技術革新を担当する行政機関を設立してAIを管轄させることを発表した。

ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相は「AI戦略の基礎を形成するこの政策方針は、ドイツと欧州がAI関連技術の実装の中心地となる道筋の土台となるものだ」と述べた。

フーベルトゥス・ハイル労働・社会相は、AIなどの重要な技術分野の最前線に立ち続けるためには、人への投資が必要だとした。人間と機械の対立ではなく、協業を通じてのみ、技術を通じた生産性向上が実現できるとした。

AIの活用は、その結果に対する責任を重視しながら推進し、社会の利益につながることが連邦政府の基本的な方針となっている。

なお、今回の方針はAI戦略の基礎を形成するもので、連邦政府は今後数週間にわたって全国の関連団体、協会、研究所や専門家と協議し戦略を固めていく。AI戦略は、12月3~4日に経済・エネルギー省が主催するデジタルサミットで発表される予定。

経済・エネルギー省は7月19日、AIが今後5年間でドイツの製造業の総付加価値を約320億ユーロ押し上げるとの予測を発表した。これは、同期間の製造業総付加価値増加の3分の1をAIが担うことを意味するという。

(油井原詩菜子)

(ドイツ)

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