欧州委、ブレグジット対策めぐり企業や市民にも注意喚起
(EU、英国)
ブリュッセル発
2018年07月23日
欧州委員会は7月19日、英国のEU離脱(ブレグジット)に向けた準備に関するコミュニケーション(政策文書)を採択した。この中で、欧州委は主要テーマごとにブレグジットに潜む課題と対策を紹介し、通関処理など国境管理が復活するシナリオも含めた周到な準備をEU諸機関や加盟国、企業および市民に対して呼び掛けている。
合意のない英国の離脱リスクにあらためて言及
欧州委は、英国がEUを離脱する2019年3月30日(ブリュッセル時間で午前0時、ただし英国時間では29日午後11時)以降、英国はEUにとって「第三国」となり、EU・英国双方の政府、企業、市民への影響が及ぶと指摘。具体的には、EU・英国間の国境管理の復活、英国政府が発行したライセンス、証明書などの効力、個人データ保護に関わるルール、およびセクター特有の問題など、多様な影響が想定されると警鐘を鳴らしている。
今回の政策文書は欧州議会、欧州理事会、欧州中央銀行、欧州投資銀行などのEU諸機関に向けたものだが、ブレグジットに先立って「秩序ある離脱に向けた合意が形成される保証はない」と明言。このため、英国のEU離脱日に向けて、EU諸機関だけではなく、EU加盟国、企業・市民を含む関係者全てが、あらゆるシナリオを前提に、周到に準備を完了しておく必要がある、と注意喚起した。
欧州委は発表の中で、仮に英国の秩序ある離脱を担保する合意が形成された場合でも、「企業のサプライチェーン断絶などのリスクは避けられない」とした。また仮に双方合意しても、2019年3月30日のブレグジットまでに離脱協定の批准プロセスが間に合わないリスクもあると指摘。コミュニケーションでは、「運輸(航空サービスを含む)」「通関」「金融サービス」「食品安全」「医薬品」「個人データ」「職業資格」などテーマごとの事例を挙げて、それぞれの課題と欧州委が想定する対策を紹介している。
(前田篤穂)
(EU、英国)
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