欧州委、2019年早期の日EU・EPA発効に期待感示す
(EU、日本)
ブリュッセル発
2018年07月11日
欧州委員会のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は7月10日付で公開した政策文書で、7月17日に東京で開催される日EU首脳協議の機会に署名が予定(2018年7月10日記事参照)されている「日EU経済連携協定(EPA)」について、双方議会での批准手続きも念頭に、2019年早期の発効に期待しているとの認識を明らかにした。
フランス産業界の課題認識にも配慮
この政策文書は、フランス最大の経営者団体であるフランス企業運動(MEDEF)が5月18日に同委員宛てに提出した、日EU・EPAを支持する意見書に対する回答として明らかにされた。この中でマルムストロム委員は、EUとしての同協定の経済効果に対する強い期待を表明するとともに、同協定がもたらす価値は、ただちにもたらされる経済効果だけではなく、世界最大級の2つの経済圏が、オープンで公正な通商ルールを重視する原則を打ち出す明確なメッセージを発信することにもあると強調した。
MEDEFは同意見書で、「政府調達」「本質的な関税削減・撤廃を実現すること」「(日本市場での200に及ぶ)地理的表示の保護」などを同協定の成果として評価し、同時に(1)協定内容の履行状況のモニタリングの必要性、(2)電子商取引における、EU法に整合するデータ移転および模倣品など不正対策での協力強化、(3)商業機密情報の保護も念頭に置いた、原産地証明に関わる通関ルールの実現などを、フランス産業界としての課題認識として指摘した。
これに対して、マルムストロム委員は、協定履行状況の精緻なモニタリング実施の必要性について留意するとの認識を示し、特に個人データ保護については、同協定でも3年以内に日EU間でのデータ移転について再協議を行うことを約束していることに言及、並行してデータ保護レベルの十分性認定(2017年12月19日記事参照)に向けた協議を進めることが必要としている。また、模倣品対策など知的財産権保護については、電子商取引に限らず、同協定を通じて、EU・日本の通関当局による不正取引撲滅に向けた連携強化のメカニズムが担保されるとした。このほか、原産地証明に関わる商業機密情報の保護についても、同協定は配慮した条項を含むとMEDEFに回答した。
(前田篤穂)
(EU、日本)
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