付加価値税、2019年から20%に引き上げの方針

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年06月15日

ドミトリー・メドベージェフ首相は6月14日、閣議で付加価値税(日本の消費税に相当)を2019年1月1日から、現行の18%を20%に引き上げる方針を発表した。食品や社会サービスなどへの低減税率は引き続き適用されるとしている。アントン・シルアノフ第1副首相兼財務相は、付加価値税の増税分を毎年6,000億ルーブル(約1兆800億円、1ルーブル=約1.8円)と試算、石油ガス分野からの収入分も含め国家の戦略的課題に活用すると説明した。

年金支給開始年齢も繰り下げへ

閣議では年金支給開始年齢の繰り下げの方針も発表。政府案では2019年から繰り下げを開始し、十分な移行期間を設けながら男性は2028年に65歳、女性は2034年までに63歳とするとしている。同首相は「年金支給額を毎年のインフレ率よりも高い割合で増やしていかなければならない。労働人口が減り年金受給者が増えていく人口構造の中で、財政のバランスを取るために、年金制度を変更しなければ、政府の社会的義務を果たすことはできない」と理解を求めた。今後、両制度の変更について連邦政府から下院へ法案が提出され、審議が行われる。

付加価値税増税と年金支給開始年齢の繰り下げについては以前から議論されてきた。2018年3月に大統領選挙が終了し国民に不人気な政策を実行しやすくなったこと、5月7日に2024年までの政策目標がプーチン大統領により具体的数値で示されたこと(2018年5月8日記事参照)から、目標達成に必要な財源を賄うため、増税と年金改革は避けて通れない問題と言われていた。

なお、大手格付け会社フィッチ・レーティングスをグループ企業に持つ調査会社BMIリサーチは5月発表のレポートで、付加価値税増税により2018年年末にかけて自動車(などの高額財・サービス)の大きな駆け込み需要が期待できるとしている。

(高橋淳)

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