欧州委の春季経済予測、力強い経済成長継続との見方
(EU)
ブリュッセル発
2018年05月07日
欧州委員会は5月3日、春季経済予測(注)を発表し、EU加盟28カ国とユーロ圏ともに2018年の実質GDP成長率を2.3%、2019年を2.0%と予測し、前回の2018年冬季経済予測(2018年2月23日記事参照)の見通しを据え置いた。良好な景況感や好調な世界経済、低い資金調達コストなどに支えられ、力強い経済成長が継続するとの見方を示した。
米国の景気刺激策と保護主義に懸念
経済の拡大に伴い雇用も改善し、EU加盟28カ国の2018年の失業率は7.1%〔前々回の2017年秋季経済予測(2017年11月20日記事参照)から0.2ポイント下方修正〕、2019年は6.7%(0.3ポイント下方修正)、ユーロ圏はそれぞれ8.4%(0.1ポイント下方修正)と7.9%(同値)となる見通しだ。
EU加盟28カ国の物価は、雇用拡大に伴う労働市場の逼迫などによるインフレ圧力の高まりや石油価格の上昇を受けて、緩やかに上昇するとの見通しを示し、2018年の物価上昇率を1.7%(前回予測より0.2ポイント下方修正)と予測、2019年は1.8%に据え置いた。ユーロ圏については、2018年と2019年それぞれ1.5%と1.6%とし、前回予測から据え置いた。
欧州委は、経済成長と低金利により、2018年のユーロ圏の全加盟国の財政赤字が1999年の経済通貨同盟発足以降初めてGDP比で3%未満となるとの見方を示した。EU加盟28カ国中でみると、3%以上となるのはルーマニアのみで、財政黒字の加盟国が12カ国(うち、ユーロ圏8カ国)となる見通しだ。
他方、欧州委は、リスク要因として米国の景気刺激策など景気循環増幅型の財政政策と保護主義の「危険な連鎖」を指摘。輸出と投資を成長の原動力とし、開かれた市場であるユーロ圏は特にその影響を受けやすいと懸念を示した。
詳細は、欧州委員会の春季経済予測で確認できる。
(注)欧州委は現在、春季(5月)と秋季(11月)に包括的な経済予測を、夏季(7月)と冬季(2月)に実質GDP成長率と消費者物価指数の上昇率を対象とする簡易な経済予測を発表している。
(村岡有)
(EU)
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