マクロン大統領、AI戦略を発表
(フランス)
パリ発
2018年04月04日
エマニュエル・マクロン大統領は3月29日、フランスの人工知能(AI)戦略を発表した。2022年までに総額15億ユーロをAI分野に投資する。主な内容は以下のとおり。
- AI分野のスタートアップ企業に資金(シードマネー)を供給(1億ユーロ)
- フランス公的投資銀行(BPIFrance)を通じたディープテクノロジー関連企業の振興(7,000万ユーロ)
- AI関連分野におけるプロジェクトの公募実施(4,000万ユーロ)
- 「医療」「輸送」の2分野をAI戦略分野に指定。医療分野ではAIのプログラムに活用する医療データを集めたデータセンターを設立、輸送については2022年までに自動走行車の実用化を目指した法制度を整備
- フランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)を軸とした複数の高等研究機関が参加するAIに特化した研究プログラムの立ち上げ
- 公的研究機関の研究者が民間企業で就労できる時間を労働時間の最大20%から50%に拡大
- AI専攻の学生数を倍増
今回の発表は、数学のノーベル賞と言われる「フィールズ賞」を2010年に受賞した数学者で与党・共和国前進の議員でもあるセドリック・ビラニ氏が3月28日にまとめたAI戦略に関わる報告書を受けたもの。同報告書の中でビラニ氏はAIのアルゴリズム開発に必要となるデータの保護や共有、AI人材の育成強化、AI普及に伴う労働市場の変化への対応などについて政策提言を行っていた。
日本企業も投資を拡大
外国企業によるフランスにおけるAI分野への投資は、米国のフェイスブックやグーグルにとどまらない(2018年2月5日記事参照)。富士通は3月28日、パリ市南西部郊外にある科学技術クラスター「パリサクレー」に2017年3月に設置した自社のAI研究施設「センター・オブ・エクセレンス(CoE)」の拡張を発表した。富士通フランスは、優れた高等研究や教育機関、ダイナミックなイノベーション・エコシステムがあるフランスは富士通にとってイノベーション分野で戦略的な国だ、と拡張の理由を説明している。
(山崎あき)
(フランス)
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