上院でEU離脱法案の修正案を可決
(英国)
ロンドン発
2018年04月24日
上院は4月18日、英国の「EU(離脱)法案」について、2つの修正案を挿入することを決めた。1つは、EU関税同盟にとどまるための政府の取り組みの議会報告を義務付けるもので、賛成348、反対225で可決された。同修正は、議会が政府に関税同盟にとどまることを強制するものではないが、関税同盟からの離脱を表明するテレーザ・メイ政権に対し、議会が関税同盟残留を支持する姿勢を明確に示した格好だ。
上院の保守党議員からも造反者が出た。修正案の賛成派は、関税同盟からの離脱は英国の輸出の減少につながると懸念している。一方政府は、関税同盟にとどまると、英国はEUの関税率を採用しなければならず不利な条件に拘束されると主張し、この改正を受け入れられないとしていた。
2つ目は、EU離脱後にEU法を国内法に転換する際、消費や雇用、環境に関する国内法を修正するには上下両院の審議を経なければならないとする修正案で、賛成314、反対217で可決された。2017年12月には下院で、EUとの離脱協定の最終合意には、議会での承認を必要とする修正案が可決されており、かねて政府の力を制限することが議論されていた。同修正案も、政府の権限により消費や雇用、環境に関する法律が変更されることを防ぐため可決されたものだ。今回の修正案は、上院での残りの審議日程を経た後、下院に戻され審議される。下院で合意がなされない場合、上下院の間を修正案が行き来する可能性がある。
「ガーディアン」紙(電子版4月18日)によると、EU離脱省のスポークスパーソンは今回の投票結果について、「議会がこの修正案を可決したことに失望している。この法案の根本的な目的は、離脱日に向け英国法を準備することであり、離脱条件を決めることではない」などと述べた。
(鵜澤聡)
(英国)
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