インダストリー4.0に向けた産業政策を発表

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年04月12日

インドネシア工業省は4月4日、ジョコ・ウィドド大統領出席の下、「インダストリー4.0」導入に向けたロードマップ「Making Indonesia 4.0」を発表した。同国は2000年代以降、GDPに対する製造業のシェアが縮小傾向にある中、アイルランガ工業相は「インダストリー4.0の導入は、インドネシアの製造業を再活性化するチャンスをもたらし、2030年に世界の10大経済国になるためのアクセルになる」とする。

ロードマップは、製造業におけるモノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)そのものの導入計画というよりは、インドネシアが「2030年にデジタル産業の時代に入るための準備」としての色彩が強く、「インダストリー4.0」への適応を優先的に進めるモデル分野として、食品および飲料、テキスタイルおよびアパレル、自動車、化学、電器の5分野を挙げている。

これらは、(1)世界需要の大きいこと、(2)国際競争力を持つ生産拠点があり、輸出増加に貢献できること、(3)製造業分野のGDPに対する貢献が大きいことなどの理由で選ばれた。

10大経済国入りを目指す

ロードマップでは、インドネシアが「2030年に世界の10大経済国になる」ために、2030年までの指標として以下を掲げている。

  • GDPに対する純輸出の割合を10%に引き上げる
  • 労働コストに対する生産性を2倍に引き上げる
  • GDPの2%を研究・開発・設計およびイノベーションに配分する

また、達成のための方策として以下の10の優先項目を示している。

  • 部品・素材フローの改善:素材・部品産業の強化。
  • 工業ゾーンの再設計:工業団地に関する包括的・産業横断的ロードマップ作成。
  • 持続可能性への適応:クリーンテクノロジー、EV、バイオ燃料、再生可能エネルギーなど。
  • 中小零細企業の育成:eコマースや技術支援。
  • デジタルインフラの整備:クラウド、データセンター、情報セキュリティー、ブロードバンドなど。
  • 外国投資の誘致:有力製造業の誘致、技術移転の後押し。
  • 人材の質の向上:インダストリー4.0に合わせた教育カリキュラムの刷新。専門性の高い人材の移動を円滑化。
  • イノベーション・エコシステムの形成:イノベーションセンターの設置、知的財産保護、産学連携。
  • 技術投資に対するインセンティブの導入:IoTやAIなどに投資する企業を対象とした補助金、減免税、関税免除。
  • 規則と政策の調和:中央省庁・政府機関・地方政府を横断的に規則と政策の調和を図る。

(吉田雄)

(インドネシア)

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