通商法301条に基づく対中制裁措置の発動を指示-600億ドル分の輸入に25%の追加関税-

(米国、中国)

ニューヨーク発

2018年03月23日

トランプ大統領は3月22日、1974年通商法301条に基づく対中制裁措置の発動を決定した。中国の不当な措置の是正に向けた対抗策をロバート・ライトハイザー通商代表部(USTR)代表に命じており、関税引き上げが必要な場合には、15日以内に対象品目のリストを公表することを義務付けている。また、中国企業の対米投資の規制強化案を60日以内に提案するよう、スティーブ・ムニューシン財務長官に命じた。

対象品目のリスト案を15日以内に公表

トランプ大統領は3月22日、1974年通商法301条(以下、301条、注)に基づき、中国に対する制裁措置を発動することを命じる大統領覚書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した。USTRの調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国企業の知的財産や技術を中国企業に移転するために中国政府が不当に介入しているとの結果が示されたことを受けて、対中制裁措置の発動を決定した。

制裁措置は、関税と中国企業の対米投資に対する規制強化で構成されている。

トランプ大統領はまず、ライトハイザーUSTR代表に対して、中国による不当または差別的な措置・政策・慣行を是正するために必要な措置を取ることを命じた。その上で、中国製品の輸入関税引き上げが必要な場合には、15日以内に対象品目のリストと税率の引き上げ幅を提示するよう求めた。USTRのリストを基に30日間のパブリックコメントと公聴会を行い、最終的な対象品目と税率を設定する。なお、ホワイトハウス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますUSTRPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)がそれぞれ発表したファクトシートは、航空、情報通信技術(ICT)、機械などを対象品目に含むとしており、関税の追加税率は25%(従価税)としている。またトランプ大統領は、600億ドル分の中国からの輸入に関税を賦課すると発言している。

そのほか、大統領覚書は中国の差別的なライセンス慣行に関して、WTOの紛争解決制度による解決を行うようUSTRに指示し、WTO提訴については他の加盟国との協力を追求することとしている。

トランプ大統領はまた、中国企業の対米投資の規制強化案を60日以内に提案するようムニューシン財務長官に命じた。議会では、外国企業の対米投資案件を安全保障の観点から審査する外国投資委員会(CFIUS)の権限強化に関する法案の審議も行われている(2018年1月5日記事参照)。

(注)通商法301条は、貿易協定違反や米国政府が不公正と判断した他国の措置について、貿易協定上の特恵措置の停止や輸入制限措置などの貿易制裁を行う権限をUSTRに与えている。

(鈴木敦)

(米国、中国)

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