品目分類に関する事前教示制度を改定-インドネシアの通関事情(2)-
(インドネシア)
ジャカルタ発
2017年04月13日
インドネシア財務省は2016年12月、品目分類に関する事前教示の手続きを改定した。今後、輸入者が税関総局に対し輸入予定貨物の関税分類番号の教示を申請すると、受理後30日以内に税関総局から書面による決定書(PKSI)が通知される。決定書を輸入時に添付すると3年間にわたって当該関税分類番号を用いて通関される。輸入者にとっては関税率などが予見でき、不測の追徴課税リスクを減らせる点がメリットとなる。
事前教示結果に3年間の法的拘束力
インドネシア財務省は2016年12月19日、税関申告提出前の輸入品分類の申請および決定の手続きに関する財務大臣規程第194/PMK.04/2016号を制定し、2017年1月18日から施行した。本規程によって、関税品目分類に関する事前教示制度の手続きが明確化された。 3月1日からインドネシアの関税分類番号が8桁に変更された(2017年2月27日記事参照)ため、旧関税分類番号によるPKSIは、有効期限内であっても2017年2月末をもって無効となった。従って、2017年3月以降にあらためて新制度の下、事前教示を申請することが必要だ。
旧規程の財務大臣規程第122/PMK.04/2011号では、輸入者の申請を受けて税関が事前教示を実施することが規定されていたが、手続きが明確ではなかった。新規程によると、税関総局長は、輸入者による申請を不備なく受理した場合、30営業日以内に品目分類に関する審査結果を書面で通知する。同書面は、発行から3年間の法的拘束力を有する。
新規程では、具体的な手続きと所要時間が明示された(図参照)。それによると、輸入者は税関総局所定のフォームを利用の上、(1)会社概要、納税者番号(NPWP)、通関登録者番号(NIK)、輸入予定港、輸入予定品の概略といった一般的な情報や、(2)商標、図やカタログ、製品の仕様書、材料証明書、製造プロセス、分析結果など物品の技術的な情報を申請する。申請を受けて税関総局は書類を確認し、必要に応じて追加で物品のサンプルや資料の提出を求める。税関総局から追加資料を求められた場合、輸入者は追加データを求められた日から14営業日以内に要望のあった資料を提出する。期限内に提出しない場合には、申請は自動的に却下される。税関総局は、追加資料を含めた申請内容を不備なく受領した日から30営業日以内に審査結果を通知する。審査結果は、品目分類を記載した税関総局長のPKSI、あるいは却下通知書で通知される。PKSIは発行日から3年間は有効となる。PKSI発行後に輸入者が同物品を輸入する場合、通関時にPKSIの写しを添付することで通関時の品目分類が確定する。PKSIは有効期限の間、繰り返し使用することができる。
通関段階による追徴課税リスクを低減
ジェトロが日系企業に主な課題についてヒアリングしたところ、多くの企業が通関時に税関職員がこれまでの通関実績と異なる関税分類の判断をし、追加的な税を徴収することを挙げた。インドネシアでは原則として、税関職員が輸入貨物に関する判断を行うこととされており、関税分類番号の修正と追加の関税納付を指示することがある。品目分類に関する事前教示制度を用いると、通関時の税関職員による異なった判断によって関税分類番号が変更されることを未然に防ぐことができる。輸入者にとっては、追徴課税のリスクを減らせる点がメリットだ。
ただし、本制度はまだ導入されたばかりで、実際の運用に関して見極めるべき点もある。例えば、(1)一度に複数の関税分類番号の教示を求めた際に申請から30日以内に回答を受領できるのか、(2)申請書類に関し、一般的な図面・仕様書のみで品目分類が可能と思われる場合にも、化学物質安全シート・分析証明書・試験結果など、取引当事者間で通常は準備していない書類まで過剰に求められるのではないか、(3)いったん発行された事前教示書が税関総局長によって取り消されるなどのリスクはないか、などが懸念される。新しい事前教示制度の運用について引き続き注意を要するものの、輸入通関のたびに関税分類番号の変更に悩まされてきた輸入者にとっては、今回の改定で利用価値のある制度になったといえそうだ。
問い合わせ先(インドネシア語):
インドネシア税関総局通関技術局
(Direktorat Teknis Kepabeanan, Direktorat Jenderal Bea dan Cukai)
E-mail:klasifikasi.barang@yahoo.com
電話:+62-21-29688-521/+62-21-29688-522
(山城武伸、吉岡克也)
(インドネシア)
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