株式会社花善

「駅弁」の海外進出を通して、子どもや若者に夢と成長を与えたいです

1899年JR奥羽本線大館駅の開業に伴い弁当の販売を開始。しょうゆで甘辛く炊き込んだごはんに鶏肉をのせた看板商品の「鶏めし弁当」は県内外で評価されている。2018年11月にパリに現地法人「Paris Hanazen」を設立した

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展開国・地域:
2018年 フランス
事業内容:
駅弁の製造・販売/大館駅前の食事処の営業

代表取締役社長(八代目)八木橋 秀一 氏

地元に住む子どもたちの夢を広げるために海外へ

大館市で取り組んでいる「ふるさとキャリア教育」の一環で、毎年、市内全ての小・中学生に講話をしています。駅弁をツールに子どもたちと話していく中で「将来は仙台や東京に出ることが目標」という声をよく聞きます。上京が悪いことではないのですが、同時に「大館だからできない」と考える子どもが多く、悲しく感じていました。そこで「身近な地元企業が海外に進出すれば、子どもたちも世界に目を向けやすくなるのではないか」と思ったことが、海外進出のきっかけです。弊社は駅弁屋ですので、鉄道網がしっかりとしているパリを進出先として目をつけました。フランスでは「BENTO」という言葉がポピュラーで、専門店も数多くあります。3年ほど前からパリを訪れ、現地の弁当屋へのヒアリングを重ね、現地の状況や風土について手探りながら学んでいきました。

2018年11月に行われた「ジャポニスム2018」のオープン時の様子

「ジャポニスム2018」では掛け紙のデザインを5種類用意

パリジェンヌに受け入れられた「鶏めし弁当」

肉、魚、たまご、牛乳は日本から持ち込めず現地調達。また、錦糸たまごなども手に入らずほぼ全てを現地で作らなければなりません。現地の鶏肉を使い、日本の味に近づけるのは大変でしたね。2018年11月にはパリを中心に開催された文化芸術イベント「ジャポニスム2018」にて、パリ・リヨン駅の駅弁販売イベントに出展し、初めて鶏めしを販売。続いて2019年1月に参加した「Le gout du japon(日本の味)秋田県フェア」でも鶏めしを販売したところ、現地の人々に好評で自信につながりました。ジェトロに派遣してもらった「新輸出大国コンソーシアム」の専門家には、2018年の秋からお世話になっています。一緒に渡仏して現地の方を紹介してもらったり、規制や労務に関することなど現地で気を付けるノウハウを指導してもらいました。

現地で販売した弁当の中身

パリでの販売の様子

本場の鶏めしをきっかけにパリに大館市を広めたい

海外に出ることは難しいことではなくて、勇気とちょっとしたお金があればできます。弊社の場合、パリの現地法人の資本金は1万ユーロで私個人と会社で50%ずつ捻出。1ユーロを130円と換算すれば、65万円ずつ出せば法人が立ち上げられます。簡単でしょ。パリに設置した法人は、大館市出身の女性従業員と、パリで採用した日本人の2名体制。主な業務は、事務的なことが多いですね。パリに派遣した女性従業員は日本の大学で経営学を勉強中で、弊社へ面談に来てくれました。その時にパリ進出の話をしたら「働きたい」と言って、大学を休学して渡仏してくれました。
パリで「駅弁」=「EKIBEN」という言葉を根付かせ、パリの人々が「本場の鶏めしを食べたい!」と大館に来るようになればいいですね。その時に向け、大館の子供たちには「ボンジュール」という言葉を覚えるように伝えています。

専門家からのポイント

社長に初めてお会いした際、国内で既に百年以上事業を行い受賞歴もありながら何故海外進出に挑まれるのかお聞きしたところ「地方の小さな企業でも海外で活躍できることを地元の子供たちに知って欲しい」との想いをお聞きしたことが支援の動機付けになりました。ただ、社内には海外に赴任できる人材がいないなど社長の想いを支える組織やノウハウがない状態でのスタートでした。支援に当たっては社長にフランスで事業を行う際に注意の必要な規制や労務のリスクを理解してもらうことと若い駐在員の精神的なサポートに特に注意しました。

ご利用いただいたジェトロのサービス

  • 新輸出大国コンソーシアム
    日本企業の海外展開を支援する全国のあらゆる支援機関が結集し、海外展開にご関心をお持ちの中堅・中小企業の皆様へワンストップの支援サービスを提供します。

株式会社花善

秋田県大館市
http://www.hanazen.co.jp外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます
代表者:八木橋 秀一
設立年:1899年11月
従業員:45名
事業内容:駅弁の製造・販売/大館駅前の食事処の営業

2019年3月

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