2022年の日中貿易は前年比で微減、輸出は2桁減、輸入は微増

(中国、日本)

中国北アジア課

2023年04月04日

ジェトロが日本の財務省貿易統計と中国の海関(税関)統計を基に、2022年の日中貿易を双方輸入ベースでみたところ、貿易総額は前年比4.6%減の3,735億3,743万ドルだった(添付資料表参照、注1、2)。過去最高を更新した前年から減少に転じたが、2011年(3,784億2,490万ドル)に次ぐ過去3番目の金額となった(詳細な情報は2023年3月29日付地域・分析レポート参照)。減少の背景には、中国で2022年に新型コロナウイルスのオミクロン株感染が拡大し、生産活動などに影響を及ぼしたことなどがあると考えられる。

2022年の日本の対中輸出(中国の対日輸入)は前年比10.3%減の1,848億3,070万ドルと、過去最高を記録した前年から減少に転じたが、2011年(1,942億9,627万ドル)に次ぐ過去3番目の金額となった。

HSコードの2桁分類で上位4品目をみると、第1位は電気機器(第85類)で、前年比8.2%減の502億2,598万ドル(構成比27.2%、寄与度マイナス2.2)。同品目全体の40.0%を占める半導体中核製品の集積回路(8542)が前年比10.0%減の201億1,327万ドルだった。第2位は機械類(第84類)で、16.4%減の369億738万ドル(構成比20.0%、寄与度マイナス3.5)。同品目全体の29.1%を占める半導体、集積回路またはフラットディスプレーの製造用機器(8486)が16.9%減の107億3,707万ドルと大きく減少した。第3位は車両(第87類)で2.8%減の156億241万ドル(構成比8.4%、寄与度マイナス0.2)、第4位は精密機器(第90類)で22.9%減の139億451万ドル(構成比7.5%、寄与度マイナス2.0)だった。

2022年の日本の対中輸入は、前年比1.7%増の1,887億673万ドルと微増した。2年連続の増加で、2012年(1,884億5,018万ドル)をわずかに上回り、過去最高を記録した。ただし、伸び率は前年(13.0%増)より大きく鈍化した。

HSコードの2桁分類で上位4品目をみると、第1位は電気機器(第85類)で、前年比1.2%減の533億9,901万ドル(構成比28.3%、寄与度マイナス0.4)。同品目全体の37.9%を占める電話機(8517)が7.1%減の202億3,787万ドルだった。第2位は機械類(第84類)で、3.9%減の338億3,671万ドル(構成比17.9%、寄与度マイナス0.7)。同品目全体の40.1%を占める自動データ処理機械(8471)が9.7%減の135億7,463万ドルと、2年連続の減少となった。第3位は衣類・同付属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものに限る、第61類)で、0.6%減の74億8,071万ドル(構成比4.0%、寄与度マイナス0.0)、第4位は衣類・同付属品(メリヤス編みまたはクロセ編みのものを除く、第62類)で、0.5%減の63億2,384万ドル(構成比3.4%、寄与度マイナス0.0)だった。

前述のとおり、輸出が2桁減、輸入が微増となったことから、日本の中国に対する貿易収支は6年ぶりに輸入超過に転じ、38億7,602万ドルの赤字となった。

(注1)この分析は、日本の対中輸出を中国の輸入統計でみる「双方輸入ベース」となっている。貿易統計は輸出を仕向け地主義、輸入を原産地主義で計上しており、香港経由の対中輸出(仕向け地を香港としている財)が日本の統計では対中輸出に計上されない。中国の輸入統計には日本を原産とする財が全て計上されていることから、日中間の貿易は、いずれかの国の貿易統計より、日中双方の輸入統計をみた方が実態に近いと考えられる。このため、日本の対中輸出は中国の通関統計による対日輸入を、対中輸入は日本の財務省統計による対中輸入を使用している。いずれも貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を用いている。

(注2)財務省貿易統計の円ベース(輸出確報・輸入速報、2023年1月27日)では、日中貿易総額が43兆8,411億円(前年比14.3%増)、輸出(日本の対中輸出)が19兆66億円(5.7%増)、輸入が24兆8,344億円(21.8%増)となった。なお、財務省の2023年1月19日付の発表によると、2023年下半期の日本の対アジア貿易における取引通貨の比率は、輸出ではドルが49.7%、円が42.5%。輸入ではドルが72.1%、円が22.5%となった。

(宗金建志)

(中国、日本)

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