新型コロナで運動量と健康診断受診率が低下、国家国民健康調査

(シンガポール)

シンガポール発

2023年01月04日

シンガポール保健省の「2021年国家国民健康調査(NPHS、2022年12月20日発表)」によると、1週間当たり150分以上の中程度運動をした国民(永住権者を含む)の割合は、2019年の80.1%から2021年に71.1%へと低下した。同省は週に一定時間以上運動する人の割合が低下した理由として、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)により、社会活動や運動の機会が減った可能性を指摘した。

健康調査は2020年7月~2021年6月に、18~74歳のシンガポール国民(永住権者を含む)を対象としてインタビューなどを行ったもの。同調査によると、慢性疾患の予防検診の受診率は2019年の66.3%から、2021年に59.2%へと低下した。また、乳がん検診の受診率は2019年の38.7%から2021年に31.1%へ、子宮頸がん検診の受診比率も同時期に48.2%から41.0%へと減少した。大腸がん検診の受診率も2019年の42.0%から、2021年に36.6%に低下した。保健省は予防検診者の減少について、新型コロナウイルスにより予防検診を含む非緊急医療活動が延期されたためと推測されるとしている。

一方、糖尿病と自己申告した人の割合は2021年に6.9%、高コレステロールが13.9%、高血圧が15.7%と、2019年の新型コロナウイルス流行前と比較して割合にほとんど変化がなかった。ただ、保健省はこの結果について、新型コロナウイルス流行中には慢性疾患の予防検診に行く人が減ったことから、未診断の慢性疾患者が多い可能性に懸念を示した。

2023年下半期から中高年向け予防医療イニシアチブ通じて、定期健診費用を補助へ

保健省は2023年下半期以降、人口高齢化対策の一環として、中高年の国民を対象に予防医療イニシアチブ「健康促進SG(Healthier SG)」を段階的に導入する予定だ。同省はイニシアチブを通じて、中高年齢の国民について、かかりつけ医による診断費用(一次予防)の補助のほか、政府が推奨する予防検診とワクチン接種の無償提供などを行う。同イニシアチブへの参加は任意。まず、2023年下半期から60歳以上の高齢者が対象となり、今後2年以内に対象を40~59歳へと広げる予定。保健省はNPHSに関する2022年12月20日付の報道発表の中で、「健康促進SGを通じて、予防検診の受診者が増加すると期待している」と述べた。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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