英政府、企業などに向けた新たなエネルギー価格高騰対策スキームを発表

(英国)

ロンドン発

2023年01月11日

英国政府は1月9日、エネルギー価格高騰に対する企業などへ向けた新たな支援策として「エネルギー料金割引スキーム(Energy Bills Discount Scheme)」を4月1日から実施することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。現在、企業などへ向けたエネルギー価格高騰対策は、「光熱費救済スキーム(Energy Bill Relief Scheme)」として実施されている(2022年9月22日記事参照)。同スキームは2022年10月から2023年3月までの一時的な措置として設計され、2023年4月以降の支援の取り扱いはレビューを踏まえた検討が進められていた。同スキームにかかる費用は6カ月間で180億ポンド(約2兆8,980億円、1ポンド=約161円)とされており、政府は移行措置であることを明確に意図していた。

一方、今回発表された新たなスキームにかかる費用は、2023年4月から2024年3月までの12カ月間で最大55億ポンドとされており、2022年11月に発表された家庭向けのエネルギー価格保証の上限引き上げ(2022年11月18日記事参照)に続き、支援規模が縮小されるかたちとなった。

具体的には、ガス料金については最大6.97ポンド/メガワット時(MWh)を割り引く。ただし、割引後の料金が107ポンド/MWhを下回らない水準(以下、閾値)とする。電気料金は、302ポンド/MWhを閾値として、最大19.61ポンド/MWhを割引く(添付資料図1参照)。

製造業などのエネルギー集約型・貿易型産業〔対象業種リスト(英国政府)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)〕については、国際競争のため顧客への価格転嫁が困難として、標準よりも高い割引水準を設ける。ガスの場合は最大40.0ポンド/MWh、電力の場合は最大89.1ポンド/MWhが割引かれる。ただし、割引は各エネルギー使用量の70%に適用される。また、閾値はガスが99ポンド/MWh、電力が185ポンド/MWhで設定される(添付資料図2参照)。

今回の発表に対して、英国産業連盟(CBI)は、新しいスキームは現在のスキームより寛大ではないことは予見されていたと理解したうえで、一部の企業は厳しい状況に陥ると危機感を示した。

(菅野真)

(英国)

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