一部の国への中国公民の団体旅行を再開

(中国)

北京発

2023年01月31日

中国文化観光部は1月20日、旅行会社による中国公民の出境団体旅行業務再開の試行に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。通知によると、2月6日から、全国の旅行会社およびオンライン旅行会社は、中国公民の出境団体旅行業務および航空チケットとホテルをセットで手配する業務を試行的に再開する。

今回、中国公民の団体旅行が再開される国は、タイ、インドネシア、カンボジア、モルディブ、スリランカ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ラオス、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、ケニア、南アフリカ共和国、ロシア、スイス、ハンガリー、ニュージーランド、フィジー、キューバ、アルゼンチンの20カ国となっており、日本は今回の対象となっていない。

中国公民の団体旅行については、2020年1月24日に文化観光部が通知を発表し、同日から全国の旅行会社による国内外への団体旅行および国内外の航空チケットとホテルをセットで手配する業務を停止していた。その後、国内の団体旅行については断続的な再開と再停止を経つつも2022年12月までに順次再開された(注1)ほか、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)防疫規制の緩和により2023年1月8日から中国公民の国外旅行関連手続きも再開されているものの(2023年1月4日記事参照2023年1月12日記事参照)、出境団体旅行については停止されたままとなっていた。

新型コロナ感染拡大以前の2019年の全国旅行社統計によると、同年に旅行社が組織した出境旅行の旅行先国・地域の1位はタイで全体の17%を占めていたほか、今回団体旅行が再開される国の中ではシンガポール(4%)、マレーシア(4%)、インドネシア(3%)、ロシア(3%)が上位10位以内に入っている。また、同年の出境旅行による営業収入(売上高に相当)は旅行社の旅行業務による売り上げの約42%を、出境旅行による利益は旅行業務による利益の約38%を占めるなど、出境旅行は中国の旅行業界にとって主要な収益源となっている(注2)。

日本は上記の旅行先国・地域の中では12%を占め、タイに次いで2位となっているが、今回の再開の対象には入らなかった。在中国日系企業からなる中国日本商会が作成している「中国経済と日本企業2022年白書」(2022年8月1日記事参照)では、中国発日本向けの団体旅行再開についても要望しており、今後、日本向け団体旅行についても早期再開が期待される。

(注1)例えば、北京市では2022年12月13日から、市内の旅行会社による、中国国内の省をまたぐ団体旅行業務および航空チケット・ホテルのセット手配業務が再開されていた。

(注2)中国公民の出境旅行業務については、一部の地方で外資系企業の参入を認める動きもみられる(2022年10月13日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

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