NY州が2023年度予算案を発表、歳出は約2,160億ドル、前年度比1.6%増

(米国)

ニューヨーク発

2022年01月24日

米国ニューヨーク(NY)州は1月18日、2023会計年度予算案(2022年4月~2023年3月、注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同州では、2021年8月にアンドリュー・クオモ前知事が辞任し、キャシー・ホークル知事が新たに就任しており、新知事にとって初めての予算編成となる。

歳出総額は前年度比1.6%増の2,163億ドルとなり、新型コロナウイルスの感染拡大への対応のために急増した前年度(14.1%増)から大きく鈍化したが、引き続き高い歳出規模となった。新型コロナウイルス対応に関して、固定資産税の還付に22億ドル、芸術文化団体支援などのパンデミック回復イニシアチブに20億ドル、医療従事者へのボーナス支給に12億ドル、などが盛り込まれている。一般行政経費は前年度比3.1%増の1,188億ドルで、特に学校運営支援(7.1%増)やメディケイド(6.3%増、低所得者層向けの公的医療保険)などへの支出増が目立つ。

歳入は、前年度比2.5%減の2,211億ドルを見込む。パンデミック下にかかわらず、税収が1,087億ドル(7.5%増)、その他収入も275億ドル(6.0%増)と堅調な一方、連邦政府からの資金提供が849億ドル(14.8%減)と大きく減少することが響いた(添付資料表参照)。

また、2023年度予算の発表に合わせて提出された、今後5年間の中期財務・資本計画には、高速道路や橋などのインフラ整備に328億ドル、10万戸の公的住宅の建設などに250億ドル、公立大学の運営支援に15億ドル、先日発表された5億ドルの洋上風力発電インフラ設備整備(2022年1月17日記事参照)などが盛り込まれている。

当該予算案は、州議会での承認・可決が必要になるため、今後は2022年4月から始まる新会計年度までの成立を目指して、議会での説明・交渉が行われる。足元ではオミクロン株の感染拡大や強制退去猶予措置の失効による路上生活者増加への懸念(2022年1月20日記事参照)といった課題が山積しており、速やかな予算成立とその執行が求められ、議会との交渉などでのホークル知事の手腕が注目される。

(注)NY州の予算の会計年度は、連邦政府と異なり、4月から翌年3月の期間を対象としている。また、締めの年月が属する暦年で年度を呼ぶ。

(宮野慶太)

(米国)

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