米政権、学生ローン支払い一時停止を再々延長、2022年5月1日まで

(米国)

ニューヨーク発

2021年12月24日

米国教育省は12月22日、新型コロナウイルス対応で導入された連邦政府への学生ローン返済一時停止措置を2022年5月1日まで延長すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同措置は8月にも延長されて、2022年1月末が期限だった(2021年8月12日記事参照)。バイデン政権になってから延長は3回目。

前回延長時に教育省は「延長は今回が最後」と明言していたが、今回の延長について、ジョー・バイデン大統領は声明で、長引くパンデミック対応と回復を続ける経済への影響を考慮したとしている。前回に続いて今回もバイデン政権に延長を迫っていた上院のチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州)やエリザベス・ウォレン議員(マサチューセッツ州)ら民主党議員は声明で今回の措置を称賛するとともに、「引き続き全ての借り手に対して5万ドルの債務免除をバイデン政権に求める」と述べた。バイデン大統領は就任前に1人当たり1万ドルの学生ローン免除をすべきと述べたことがあり、両議員らはその実行とさらなる上積みを求めている。

教育省は今回の延長により、4,100万人の借り手が月額50億ドルの返済を先延ばしできるとしている。しかし、学生ローンの債務総額は2020年末時点で約1兆7,000億ドルにも上っており、GDP比で約8%の水準に達している。商務省センサス局によると、20代後半から30代前半の成人が過大な学生ローンを抱える傾向にあり、その後も長く債務返済に苦しむなど、米国経済にとって大きな負担となるとともに社会問題化している。バイデン大統領は前述の声明で、ローンの借り手は今回の延長の間に教育省と相談して債務返済計画を進めてほしいとするが、新型コロナウイルスのオミクロン株の影響などによって経済の先行きは不透明な情勢で、返済計画の作成は容易ではないことが予想される。仮に1人当たり5万ドルの債務免除となれば、新たな財政負担となり、財政規律を重んじる共和党や民主党内の中道派の反発も予想され、今回の延長期限の5月1日までにどういった対応が取られるか注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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