米家計部門の貯蓄、2020年末に約14兆1,000億ドルと過去最大を記録

(米国)

ニューヨーク発

2021年03月18日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は3月11日、2020年第4四半期(10~12月)の資金循環統計を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。その中で、2020年末の家計部門(家計・民間非営利団体)の貯蓄が約14兆1,000億ドル、前年末比で23%増となり、統計データがさかのぼれる1945年以降で過去最大となったことを明らかにした(添付資料表参照)。度重なる経済対策による現金給付のほか、失業保険による現金給付が行われているためで、新型コロナウイルス感染拡大による行動制限などで消費が減少した中、貯蓄の積み上がりが鮮明となった。

家計の純資産は130兆1,546億ドルで、同様に過去最高を記録。前述の現預金のほか、直接的・間接的に家計部門が保有する企業株式の価値が好調な金融市場を反映して、2020年末は前期比で4兆9,000億ドル増加、不動産の価値も9,000億ドル増加したとしている。

一方、家計部門の債務も増加した。最近の低金利の影響などにより、住宅ローンの負債総額は10兆9,354億ドルに達し、前年比4.3%増と、2019年の前年比2.7%増に比べて高い伸びを見せている。加えて、2020年には連邦政府の債務も前年比24%増となり、2019年の6.7%増から急増している。議会予算局の見通しでも、債務残高の急増が示されており(2021年3月9日記事参照)、金利が上昇し始めている局面の中、家計と政府部門の債務増加による収支圧迫が懸念される。

2020年末と3月には新たな経済対策が策定・実行され(2021年3月16日記事参照)、現金給付や失業保険による大規模な家計支援が行われている。米国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が広がり、各州で徐々に行動制限規制が緩和される中、現預金の積み上がりが消費に結びつくかどうかが今後注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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