欧州理事会、英国との将来関係をめぐる交渉準備の着手を欧州委に要請

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年12月16日

欧州理事会は12月13日に開催されたEU首脳会議において、英国での下院総選挙の結果(2019年12月13日記事参照)を踏まえて、あらためて英国のEU離脱(ブレグジット)問題に対するEU側の基本姿勢を明らかにする文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を採択した。欧州理事会は、EU・英国間で合意された離脱協定案(2019年10月18日記事参照)に基づく秩序のある離脱の実現を目指し、同協定案の迅速な批准と効果的な実施を求めた。その上で、離脱協定案とともに合意された政治宣言案やEUのガイドラインに基づく「EU・英国の将来関係」を、可能な限り緊密なかたちで構築したいとしている。ただし同時に、この将来関係は権利・義務のバランスの上に成り立つことや、公平な競争条件を担保する必要性を強調。英国側の出方次第では円滑な将来関係の構築には相当の時間を要することも想定される。

欧州理事会はまた、欧州委員会に対して、英国のEU離脱後、直ちにEU・英国の将来関係に関する包括的な交渉権限付託(マンデート)の指令案をEU理事会(一般問題理事会)に提出することを要請した。

欧州委のバルニエ首席交渉官は続投、英国と新たな将来関係の交渉に

欧州議会のブレグジット問題対策グループの座長を務めるギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)は、12月13日付のツイッターに「いよいよ、ブレグジットは現実のものになる。英国民は2016年の国民投票の結果を是認した。EUとしては、親密で、公正かつ長期的な英国との関係の構築に集中しなければならない。それがわれわれ共通の利益だ」と投稿。EU側も、英国が2020年1月末(英国時間)にEUを離脱する前提で、既にその先の将来関係の交渉準備に焦点が移っている。

なお、欧州理事会は、欧州委がミシェル・バルニエ首席交渉官を(EU・英国の)将来関係の交渉責任者としてあらためて指名したことも歓迎。これまでのブレグジット交渉と同様に、EU加盟国に対する情報開示など透明性に配慮した交渉を進めるべきとしている。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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