英国議会議長、3度目のブレグジット合意案採決に「待った」

(英国、EU)

ロンドン発

2019年03月19日

英国のEU離脱(ブレグジット)をめぐる英国・EU合意案の採決について、英国議会下院のジョン・バーコウ議長は3月18日に声明を発表し、同12日に否決された合意案(2019年3月13日記事参照)と実質的に変わらない内容であれば、3度目の採決にかけることはできないとする裁定を出した。

3月14日に賛成多数で可決された離脱延期の方針(2019年3月15日記事参照)に従い、3月21、22日の欧州理事会(EU首脳会議)までに議会の合意を勝ち取るべく、各勢力への働き掛けを続けていたテレーザ・メイ首相にとって、新たな打撃。アイルランドと北アイルランド間の国境管理の安全策(バックストップ)について、ジェフリー・コックス法務長官がさらに踏み込んだ法的解釈を示すことが議会通過の糸口になるか注目されていたが、解釈の追加だけでは採決にかけることが難しくなった。

もっとも、採決の先延ばしについては、今回の議長声明の前から複数の閣僚らがその可能性に言及していた。フィリップ・ハモンド財務相は3月17日のBBCの番組で、与党・保守党議員と北アイルランドの民主統一党(DUP)が合意案に賛成し、過半数を確保できるめどが立って初めて3度目の採決に持ち込むとコメント。リアム・フォックス国際貿易相も同日のスカイ・ニュースの番組で「議会での勝算がなければ、採決にかけることは正当化できない」と発言している。

前回とは異なる合意案でなければ採決できなくなった中、メイ首相は欧州理事会の場でEUから再度譲歩を引き出し、翌週の採決を目指す可能性もある。しかし、EUはこれ以上の妥協を重ねて否定しており、見通しは極めて厳しい。政府は議会の議事規則を変更ないし一時停止することで、前回と同じ内容の合意案でも採決に付すことは可能だが、そのためにはやはり議会の支持を得なければならない。混迷は離脱するはずの3月最終週も続きそうだ。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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